2020, Jun. 8
 
 
 

甘酒おばさんとの遭遇

in ハノイ。

〜甘酒を頂く節気〜

 

 

出会いは、いつも突然。
運命のいたずらとしか思えない、
ベトナムの甘酒との遭遇。

 

 


 

甘酒おばさんとの出会い

 


2019年6月8日。ハノイのホム市場を、

通り掛かった時の事だった。

 

気温は35度を越して、ほぼ40度に近い。

湿気は、余裕で50%以上。
街中でホットヨガを開催してるのかと、

思うぐらいの暑さだ。

 

 


ホム市場は、布市場として有名な場所。
市場の2階にはいつでも

所狭しと布が積み上がっている。


アオザイや、スーツの生地など、

仕立て屋さんも近くにあるので、

色んな種類の布が見つかる市場。

 
 
 
 
 

 

 

そして、1階には

新鮮な野菜・肉・魚・果物、日用品など、
色んなものが手に
入る。



この日は、市場の外を歩いていた。
外の路上にも食材がたくさん並んでいる。

果物、野菜、魚、肉。そして、、、

 

 

赤い大きなバケツ??

 

 

怪しい。。。

 

この食材の並びで、

何か大きな容器に入ってるという事は、
発酵してる、漬物か何かかな?


そう思って近づいたら、
お米の何かだった。

 
 
 

 

中を覗かせて貰うと、
ご飯が少量の液体と共に入っていて、
甘い良い香りがした。

 

 

「これ、発酵してます?」

 

ベトナム語は、昔勉強してたので、
少しだけコミュニケーションが取れる。

だから、質問したくなるのだけど、
帰ってきた答えは全部理解できない。
でも、聞かずには居られない私。

おばちゃんは、嬉しそうに返してくれた。

 

「そうだよー!よく知ってるね!」

 

そう言って味見させてくれた。

恐る恐る、口に含んでみると、
粒感の残った甘酒だった!
だけど、日本の甘酒よりも
ほんの少しだけお酒っぽさがある。


私が味見したのは、

玄米(餅米)の甘酒だった。
他にも、黒餅米の甘酒があった。

 
 

 

これって、もしかして。。

「あの、これ、

 ヨーグルトと食べるやつですか?」

「そうだよ!ヨーグルトと食べれば、

 スアチュアネップカァムだね!」

 

 

スアチュアネップカァム

 

百聞は一見に如かず。
スアチュアネップカァムとは、

下の写真のような食べ物。

 
 
 

甘味のある緩めの黒餅米、

ヨーグルト、クラッシュアイスなどを
混ぜて食べる、日本には無いデザート。

 

これが、本当に、本当に、美味しい!!
 

一般的に食べられているのは、発酵させず、
柔らかく炊いて、甘味を付けた黒餅米。

でも、本格的なのは、

発酵させヨーグルトと合わせるのだとか。


ハノイのスーパーには、
スアチュアネップカァム

コーナーがあって、
メーカーによって味は様
々。

 
 
 

 

この発酵させた黒餅米の事が

ずーっと気になっていて、
今回、本当に発酵してるタイプ

出会えたので大興奮。


発酵開拓のスイッチON!! 

餅麹で作る甘酒
 

話はホム市場での出会いに戻って、
この、ベトナムの甘酒は、

どうやって発酵してるのか聞いてみた。
 

ほぼほぼ、聞き取れなかったけれど、(笑)
これを使うことがわかった。

 
 
 

 

これってもしかして。。。


Youtubeで見たやつだ!!


日本はお酒の発酵に、

蒸した穀物に麹菌を育てた物(麹)を使う。
その後で酵母菌も酒造りには

参加するのだけど、まずは麹菌。
日本の甘酒は、

アルコールは含まれていないけれど、
酒造りの初期段階と同じ様に、

麹を使って作る。

 

 


 

一方、大陸のお酒の発酵では、

日本では見られない麹を使う。
その麹は、餅麹(モチコウジ)

日本の専門家は呼んでいる。
中国語では曲。

ベトナム語ではbánh men。
火を通していない穀物の粉と

水を混ぜて団子にし、
発酵菌を繁殖させて作る。

 

 


日本で使う麹は、

散麹(バラコウジ)
原料の穀物を、浸水し、

ある程度火を通してから、
穀物一粒ずつに、発酵菌を繁殖させる。

大陸側にも、もちろん散麹はある。

団子状で、生の粉が餅麹。
粒状で、火を通してあるのが散麹。

 

 

 


どちらの種類も日本語では麹と

読んでしまうので混乱するが、
餅麹は、麹菌では無い。
クモノスカビや毛カビなど、

麹菌以外の菌が中心で、
種類によっては、

麹菌もいる可能性がある。

そして何より、種類が豊富で
目的によって餅麹を使い分けている。

 

 


ベトナムの餅麹については、

ちゃんとした資料に出会ってないので、
私の予想でしか無いけれど、

クモノスカビ、毛カビ、酵母。
乳酸菌や他の菌もいるかもしれない。
海外では「イーストケーキ」と

呼ばれたりもする。
 

 


発酵に詳しいベトナム人に尋ねたところ、
ベトナムにはあまり

学術的な発酵の資料が無いので
分からないのだそう。

 


更には、ベトナムの餅麹の中には
少数民族秘伝の族外不出レシピで

作られている物もあるので、

ますます謎なのだとか。
(秘密を知るには、儀式を通過し、

信頼を得なきゃいけないという噂)
 


色んな餅麹があるので、

一概に言えないけれど、
この日ハノイで出会った甘酒は、
麹菌の働きで出来るものとは違う様だった。

 

まぁ、細かい話は、また今度に。。。

 


ラッキーな事に、
どうやってこの甘酒が出来ているか
友達のお母さんが見せてくれた。

 

 

 

 

ベトナムの甘酒が

出来るまで。

 

1, 黒餅米を柔らかく炊き、

 少し熱を冷ましておく。

2, 甘酒用の餅麹を粉にして、

 1のご飯の上にザルで振り掛け、

 混ぜ合わせる。

 


 

 
 
 
 

 

3, それを、1日温かい所で放置する。


*保温までしなくて良いけれど、

お母さんは2槽式の鍋に入れていた。
ハノイのこの時期の気温は30-40度。

 
 

好みによって発酵の日数を変え、
長く発酵させると

お酒の辛みが出て来る。

 


こうして出来るのが、

伝統的な北部の甘酒。

 
 

 

 

 

ベトナムの甘酒の呼び名
 

この甘酒は、ベトナム北部では

 

 


  cơm rượu nếp cẩm

(クムジウネップカァム)、


  rượu nếp cẩm

(ジウネップカァム)

と呼ばれている。
 

 

 


  cơm = ご飯
  rượu = お酒
  nếp cẩm = 黒餅米

( gạo nếp cẩmが正しい。

    gạo nếpだと餅米 。)
 

 

 


私が最初に味見した

黒餅米で無い物は、
  cơm rượu nếp

(クムジウネップ)

先程のヨーグルトは、
  sữa chua nếp cẩm

(スアチュアネップカァム)
  sữa chua  = ヨーグルト


 


実は、私がハノイを訪れた時期が、
偶然にもこの甘酒を頂く季節だった。

 

 

 

 

甘酒を頂く節気

 

ベトナムは中国や韓国の様に、

旧暦に沿って
一年の伝統行事が行われる。

例えば、お正月。
世界的な1月1日には、

それ程お祝いをしない様だが、
旧暦のお正月( テト/Tết)は
家族みんなで盛大にお祝いがある。

旧正月休みも、もちろんある。

そして、今回出会ったのは、
 テト・ドアン・ゴッ

(Tết Đoan Ngọ )

旧暦の5月5日。

太陽が一番高い位置に来る日(夏至)。
ドアンは「始まる」、ゴッは「午」

(午の刻は11~13時を指し、方角は真南。)
この日は、殺虫節と言って、

悪い虫を駆除する日なのだとか。
悪い虫とは、体内の悪い物や、

畑の作物の害虫、悪疫を指している。

 

 


ベトナムの地域によって、

食べるものは違うけれど、

北部に位置するハノイは、

ライチやすもも、そしてこの甘酒を頂く。

 

 
 
 
 

 

日本には、端午の節句があるけれど

(旧暦では無いですが)、
元々は中国起源。
韓国でも、特別な日の様で、
各国の5月5日にまつわる

エピソードを調べると面白い。
 


そんな時期に、

偶然ハノイにいたなんてラッキー!

 

 

 


そんなこんなで、

ベトナムの素敵な食文化を
一つ教えてもらいました。

 


数日後また、

ホム市場の甘酒おばさんを尋ねた。
すると今度は

黒餅米の甘酒を濾した

ワインを売っていた。


 

極弱めのアルコールで、

甘味があって美味しい。

 
 
 

ハノイに住んでたら、毎日通っちゃうなぁ。

ちなみに2020年の

テト・ドアン・ゴッは、6月25日。

2019年は6月6日。
旧暦の5月5日なので、
世界的なカレンダーで見ると、

その年によって変わります。

 

------

ホム市場 / Chợ Hôm
79 Huế, Ngô Thì Nhậm,

Hai Bà Trưng,
Hà Nội, Vietnam

甘酒はNgô Thì Nhậm通り沿いでした。(2019年)
市場の中でも甘酒を売ってる方はいます。

市場は、朝6時〜夜6時まで

やっているそうですが、
売り切れたら帰ってしまうとのこと。

一年中いらっしゃるかは、不明です。


ぜひ宝探し的に、

ホム市場を訪れてみてください。
 

 
 
 

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